本記事は、都内でベース講師、指導者として活動する星野徹(@jazzbassisttoru)が
フライミートゥーザムーンコード進行上で使用できる
4ビートのベースラインを作成し、1音符づつの効果を説明した動画になります。
1音符1音符説明していてすごい長い記事になっているので、
ブックマークされるか、お時間ある際にじっくり読んでいただくことをおすすめします。
このページの目次
フライミートゥーザムーンのコード進行で使用できるベースラインの譜面付き動画
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ベースラインの特徴
今回のベースラインは、
ゴースト・ノートやハイフレット使用といった
あまり難しいことをしないシンプルな四分音符で作成しました。
Fly me to the moonの美しい旋律を邪魔しない、テーマでもアドリブでも使用しやすいテーマでもアドリブでも使用しやすい流れを意識しています。
Aセクションから、1音符づつ解説していきます。
※コード進行は、ジャズ・スタンダード・バイブル(黒本)をほぼ参照しておりますが、アプローチに合わせて若干変化を加えている箇所もあります。
全体の流れ解説
A(8小節)→B(8小節)→A’(8小節)→C(8小節)
という構成になります。
A`はAと同じコード進行なので、今回は初心者の方でも覚えやすいように、Aと全く同じラインで構築しました。
Aセクション(1−8小節目)解説
まずは、Aセクション(1−8小節目)から使用音の解説を行っていきます。
4度進行について
まず、1小節づつの解説を行う前に、「4度進行」についてお話します。
1小節目から4小節目まで、各コードが「4度進行」しています。
次の小節へいくごとに4度づつコードが進行しているという意味です。指板でみるとわかり易いです。
こんな感じで、各コードのルート音にあたるフレットが、ひとつ隣の弦の同じフレットに動く。これが4度進行です。
また、こうした進行は、開放弦を有効的に使えます。
こうした、ベースの構造の特性を生かしながらラインを構築していきます。
それでは、1小節目から解説していきます。
1小節目
Am7のコード進行上で
1音目 A(Am7のルート)
2音目 B(Am7の2度)
3音目 C(Am7の短3度)
4音目 E(Am7の5度)
という流れで組み立てました。
2小節目
Dm7のコード進行上で
1音目 D(Am7のルート)
2音目 E(Dm7の2度)
3音目 F(Dm7の短3度)
4音目 A(Dm7の5度)
という流れで組み立てました。
3小節目
G7のコード進行上で
1音目 G(G7のルート)
2音目 F(G7の短7度)
3音目 E(G7の短6度)
4音目 D(G7の5度)
という流れで組み立てました。
4小節目
C△7、C7のコード進行上で
1音目 C(C△7のルート)
2音目 E(C△7の長3度)
3音目 C(C7のルート)
4音目 B♭(C7の短7度)
という流れで組み立てました。
基本はルート
ここまでのベースラインの流れですが、基本はポップスやロックのように、コードの第一音目はルート音にしています。
私自身ウォーキングベースをはじめて聴いたときに、全くどこの音を使っているのかわからなかった経験があります。しかし、基本は、第一音目をルート音として動くアプローチが多いです。
第一音目をルート音にし二音目以降をコードトーンやスケールトーンにすることで、サウンドに馴染んだ、”聴いていてしっくりくる”アプローチを表現することができます。
尚、「ルートって何?」という方には、既に公開中の記事ではありますが以下の記事をご参照いただければと思います。ジャンル問わず、ベースラインを作成する上で絶対に避けては通れない言葉なので、しっかり覚えておきましょう。
5小節目
F△7のコード進行上で
1音目 F(F△7のルート)
2音目 E(F△7の7度)
3音目 D(F△7の6度)
4音目 C(F△7の5度)
という流れで組み立てました。
運指もしやすい流れです。
6小節目
Bm7♭5のコード進行上で
1音目 B(Bm7♭5のルート)
2音目 C(Bm7♭5の短2度)
3音目 D(Bm7♭5の短3度)
4音目 F(Bm7♭5の減5度)
という流れで組み立てました。
ちょっと慣れない動きだと思います、とくに第一音目から三音目までの動き。
ここの動きは、Bロクリアンスケールというスケールに基づいた動きです。
キーCであるこの曲のダイアトニックコード
C△7
Dm7
Em7
F△7
G7
Am7
Bm7♭5
を想定したときの、7番目のコードにあたるBm7♭5が、
ルート
短2度(♭9th)
短3度(m3rd)
4度(11th)
減5度(♭5th)
短6度(♭13th)
短7度(♭7th)
の音階から成り立つ、ロクリアンスケールの動きをするのです。
ちょっとここはややこしいかも知れませんが、更に説明すると長くなってしまいますので、ロクリアンスケールなど、スケールの話は以下の動画で解説しています。
ぜひ重ねてチェックしていただければ幸いです。
世界が変わる!スケールの話/チャーチモード・イドフリミエロについて
https://www.youtube.com/watch?v=iNhFK3RZAFI&t=12s
7小節目
E7のコード進行上で
1音目 E(E7のルート)
2音目 F(E7の短2度)
3音目 G#(E7の3度)
4音目 B(E7の5度)
という流れで組み立てました。
このとおり弾くことは難しくないと思いますが、ここの動き方も慣れない動きという方も多いかもしれません。
ポイントは、第三音目のG#音。E7のメジャー3度にあたる音で、ここの響きが独特です。
フライミートゥザムーンのベースラインを奏でるとき、7小節目のE7では、このG#の音を意識的に使用してあげるといいです。
その理由を解説します。
7小節のE7でG#を使用したほうがいい理由
6小節目のBm7♭5のときにお話しましたが、キーCであるこの楽曲は、この楽曲はキーCの以下のダイアトニックコードを中心に組み立てられており、
キーCのダイアトニックコード
C△7 Dm7 Em7 F△7 G7 Am7 Bm7♭5
全体のベースラインで使用される音も、キーCのダイアトニックコードのルートをベースとした音階、キーCのダイアトニックスケールから成り立っています。
キーCのダイアトニックスケール
C D E F G A B
かんたんにいうと、ベースラインを弾くときに、第一音目をルートにし、以降の音をこのダイアトニックスケールを使用してあげると、全体的に調和感のとれた、「しっくりくるサウンド」として成り立たせることができます。
ここで、7小節目のE7というコードは、キーCのダイアトニックコードに無いコードであることがわかります。ダイアトニックコードに対し「ノンダイアトニックコード」といいますが、
このノンダイアトニックコードであるE7のコードトーンを見てみると
E7のコードトーン
E(1度)G#(3度)B(5度)D(短7度)
となっています。
このとき、太字で記したG#という音が、キーCのダイアトニックスケールである、C D E F G A Bの音にないですよね。
調和あるダイアトニックスケールの中に、意識的にこのキーでは非調和とされるG#の音を使用することで、一瞬E7のコード進行上だけ他のコードと異なったテイストを演出することができます。
尚、ウォーキングベースやアドリブでどんな音が使えるかを考えるときに、こうしたアナライズ(楽曲分析)を行う作業はジャズではよくやります。
既にアップロードしている動画ではありますが、楽曲分析に関しては下記動画を重ねてご参照下さい。
コード分析(アナライズ)から
ウォーキングベースラインを作成する手順解説
https://www.youtube.com/watch?v=lYKchEckTwk
8小節目
Am7とA7という2つのコード進行上で
1音目 A(Am7のルート)
2音目 C(Am7の短3度)
3音目 A(A7のルート)
4音目 C#(A7の長3度)
という流れで組み立てました。
こちらのA7というコードも、7小節目、E7と同様、”ノンダイアトニックコード”にあたります。A7のコードトーンあたる、C#の音が、ダイアトニックスケールに存在しない音で、こちらの8小節目も、他の小節とは存在感があります。
ということで、ここまでがAセクション8小節の解説でした。
四度進行、ダイアトニックコードとノンダイアトニックコードの知識など、他の楽曲を攻略する際も押さえておきたい知識ですので、ここまでの内容を今後多方面でもお役立ていただければ幸いです。
Bセクション(9-16小節目)解説
次はBセクションのベースラインです。
Dm7→G7→C△7
の、「ツーファイブワン」の進行が2回出てきます。「ツーファイブワン」に関する解説はこちらの記事で解説していますが、今回のDm7→G7→C△7の進行をはじめ、ジャズでは随所で出てくる進行ですので、スムーズに対応できるようにしたいです。
1小節目
Dm7のコード進行上で
1音目 D(Dm7ルート)
2音目 E(Dm7の2度)
3音目 F(Dm7の短3度)
4音目 A(Dm7の5度)
という流れで組み立てました。
運指のしやすい流れです。
2小節目
G7のコード進行上で
1音目 G(G7のルート)
2音目 F(G7の短7度)
3音目 E(G7の短6度)
4音目 D(G7の5度)
という流れで組み立てました。
第4音目、D音の次の音は、次の小節のルート音、C(ド)の音なので、この小節からGFEDC(ソーファーミーレード )と、一気にスムーズな流れで構築しました。
3小節目
C△7のコード進行上で
1音目 C(C△7のルート)
2音目 B(C△7の7度)
3音目 A(C△7の6度)
4音目 G(C△7の5度)
という流れで組み立てました。
ここも、全音もしくは半音の進行で、緩やかな下りの進行です。
4小節目
A7のコード進行上で
1音目 A(A7のルート)
2音目 B(A7の2度)
3音目 C#(A7の△3度)
4音目 E(A7の5度)
という流れで組み立てました。
ノンダイアトニックコードにあたるA7のコードなので、Aセクション8小節目同様、C#音を用いています。
5−7小節目
Bセクションの1−3小節目の流れと同じ音使いにしましたので、細かな説明は割愛しますが、
先述したようにこういったDm7→G7→C△7のような2−5−1進行はジャズでよく出てくるため、2−5−1進行のウォーキングベースのパターンを幾つか覚えておくと、今回のように使いまわしがしやすいということもあり、利便性が高いです。
8小節目
Bm7♭5とE7のコード進行上で
1音目 B(Bm7♭5のルート)
2音目 E(E7のルート)
3音目 E(E7の短2度)
4音目 G#(E7の3度)
という流れで組み立てました。
次の小節、A`セクションの第一音目、Am7に向かうマイナーツーファイブ進行です。
ちょっと変則的ですが、ここでは
第1音目のみBm7♭5進行上の音、
第二音目以降をE7の上の進行上の音
という意識で構築しました。
以上、ここまでがBセクションの解説になります。
A`セクション(17-24小節目)解説
A`セクションは、Aセクションと全く同じ音使いで構築したため、細かな説明は省きます。
他の楽曲解説でもお伝えしていますが、
「ベースラインを何回も同じようなパターンで弾いて問題ないのか」といったご質問をいただくことがありますが、
はじめのうちはこうしたアプローチでも全く問題ないと思います。
むしろ、初心者のうちに、無理やり毎回異なるパターンでベースラインを動かそうとしてしまうと、アプローチが間に合わなくなってしまい、タイムにピッキングが遅れるなど、リズムのズレに繋がってしまうことがあります。
本記事書籍の趣旨は、
コードを見てパッとラインが組み立てるのが難しいという方に向け、とりあえず書いてあるものをまんま弾けるようにし、「ウォーキングベースラインてこんな感じなのか〜」と感覚を養っていただくことを趣旨としております。
なので、コードを見てアプローチの自由度が増すまでは、アプローチはワンパターンであることを気にするよりは、
単調であれワンパターンであれ、しっかり一定のリズムを刻み、他の演奏者がプレイしやすいベースラインを奏でてあげることを心掛けてあげるといいと思います。
Cセクション(25-32小節目)解説
ラストの8小節です。全体的にここまでのラインとさほど変わらない箇所が多いですが、1−3小節目の流れ、パッシングディミニッシュを取り入れた進行がポイントです。
パッシングディミニッシュを取り入れた進行
Dm7→D#dim→Em7というコード進行ですが、ルート音だけ見ると、
D→D#→E
という半音の動きをしています。
このとき、1小節目Dm7から3小節Em7への全音でコードが進行していると考え(下記参照)
その全音進行をより滑らかにするために
真ん中Dm7の半音上でありEm7の半音下にあたるコード、D#dimが存在している(下記参照)
とご解釈下さい。
こうした、全音階のコード進行の間に存在するディミニッシュコードを、「パッシングディミニッシュ」といいます。
ディミニッシュコードの構成音は、ルート、短3度、減5度、6度というちょっと不気味なサウンドになるのですが、今回のようにパッシングディミニッシュ的な立ち位置で使用すると、絶妙にサウンドに溶け込みます。
ここまでの流れを意識しベースラインを構築していきます。
1小節目
まず1小節目、Dm7のコード進行上では、
ルート(D)と
5度(A)
だけの使用です。
これまで4ビートのウォーキングベースラインの場合、ルート音以外は全て異なる音符を使ってきましたが、今回は小節の進行上あえてこのような、ルートと5度だけの少ない音使いのラインの組み立て方にしました。
こうした構築にしたのは、2小節目が関連しています。
2小節目
2小節目、D#dimのコード進行上でも同様
ルート(D#)と
減5度(A)
だけの使用です。
ここだけを見るとシンプルなラインですが、1−2小節目をまとめてみると、以下のような流れになります。
赤マルで囲ったA音は、両方のコードのコードトーン(5度)にあたり、ここでの1−2小節は、この共通音(ここではA音)を軸としながらルートを動かすというワザです。
この2小節をただ弾くだけではなんら問題ない難易度だとは思いますが、無理やり4分音符4音を使用するのではなく、あえて今回のように2音、3音と同じ音を続けるといったアプローチをすることもあり、そしてこうしたアプローチのほうがしっくりくるということもあります。
以上、ここまでがCセクション1−2小節目の解説となります。
Cセクション3−8小節目については、ここまでの流れの応用や使い回しをした構築となっているため省略させていただきますので、ここまでが「Fly me to the moon」のコード進行で使用できるベースライン、1コーラス分の解説となります。
長い解説になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
今後の皆様のベースライン作成にお役立ていただければ幸いです^^
更に、それでもウォーキングベースラインの組み立て方がわからなかったら…
ここまでお読みいただきありがとうございます!
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