Aセクション(1−8小節目)解説
まずは、Aセクション(1−8)から使用音の解説を行っていきます。
1小節目
Cm7のコード進行上で
1音目 C(Cm7のルート音)
2音目 D(Cm7の2度)
3音目 E♭(Cm7の短3度)
4音目 E(次の小節の第一音目、Fに向かう半音経過音)
という流れで組み立てました。
4音目、Eの音は、Cm7の構成音ではありません。
コードがマイナーコードなので、△3rdにあたるEの音を出すとメジャーな響きになってしまいます が、
次の小節アタマの音、F音に向かう流れを滑らかにする半音経過音 として、”橋渡し”的な仕事をしています。
こうした経過音が、ジャズっぽさのひとつでもありながらも、構成音じゃない音使いという一種の矛盾が、「ジャズベースってかっこいいけど何したらいいかわからない」といった、
ベーシストを悩ませる1種の要因であると考えます。
ただ、半音経過音はウォーキングベースでは必ず使用するアプローチです。ぜひ、意識的に使用できるようにすることを勧めます。
以下の動画では半音経過音の使い方についてのより詳しい解説をしています。重ねてご参照下さい。
【100%使います】ウォーキングベースやるなら絶っっっ対!知っておきたい半音経過音
https://www.youtube.com/watch?v=dlFfdPBICts
2小節目
F7のコード進行上で
1音目 F(F7のルート音)
2音目 E♭(F7の短7度)
3音目 D(F7の6度)
4音目 C(F7の5度)
という流れで組み立てました。
ルート→短7度→6度→5度というウォーキングベースライン。
このように度数が順番に並んだラインは弾き心地もよく、聴手にも流れが滑らかな印象を与えます。
3小節目
B♭△7のコード進行上で
1音目 B♭△7(B♭△7のルート音)
2音目 D(B♭△7の長3度)
3音目 F(B♭△7の5度)
4音目 E(次の小節の第一音目、E♭に向かう半音経過音)
という流れです。
ここでも4音目に半音経過音を使用しています。原理は1−2小節目の流れと同じです。
4小節目
E♭△7のコード進行上で
1音目 E♭(E♭△7のルート音)
2音目 D(E♭△7の7度)
3音目 C(E♭△7の6度)
4音目 B♭(E♭△7の5度)
という流れです。
ここも、ルート→7→6→5とこのように度数が順番に並んだライン。やはり弾き心地もよく、聴手にも流れが滑らかな印象を与えます。
5小節目
Am7♭5のコード進行上で
1音目 A(Am7♭5のルート音)
2音目 B♭(Am7♭5の短2度)
3音目 C(Am7♭5の短3度)
4音目 E♭(Am7♭5の短5度)
という流れです。
Am7♭5はエーマイナーセブンスフラットファイブ と読みます。
「5度をフラットさせる」という意味の記号なので、Aの5度、Eの音でなくE♭の音 を使っています。ここは間違えやすいですからしっかり覚えておきましょう。
6小節目
D7のコード進行上で
1音目 D(D7のルート音)
2音目 C(D7の短7度)
3音目 B♭(D7の6度)
4音目 F♯(D7の3度)
という流れです。
7小節目
Gm6のコード進行上で
1音目 G(Gmのルート音)
2音目 B♭(Gmの短3度)
3音目 D(Gmの5度)
4音目 F(Gmの短7度)
8小節目
Gmのコード進行上で
1音目 G(Gmのルート音)
2音目 F(Gmの短7度)
3音目 D(Gmの5度)
4音目 B♭(Gmの短3度)
という流れです。
開放弦から3フレット以内で作成するベースライン
尚、ここまで使用したポジションは、すべて開放弦から3フレット以内のフレット使用 で組み立てました。
4ビートのウォーキングベースは、4分音符1押弦ごとに使う音が変わることが多い ので、なるべくポジション移動が少ないように心がけています。
演奏動画を見ていただくとおわかりいただけると思いますが、以下のように、
開放を使用
左人差し指は1フレで固定
中指は2フレで固定
小指は3フレで固定
という形で、全くポジション移動していないです。こうした、移動の少なさがスムーズなベースラインの演奏、構築にすごく繋がります。
Aセクション(9−16小節目)解説
続いて、Aセクション(9−16小節目)の解説になりますが、こちらの8小節は、前半のAセクション(1−8小節目)のベースラインと同じ音使いで構築しました。
その為、細かな構築の仕組みについては省かせていただきます。
それで、よくご質問をいただく内容として、今回のAメロ2週分のように、「何回も同じようなパターンで弾いて問題ないのか」といったご質問をいただくことがありますが、
はじめのうちはこうしたアプローチでも全く問題ないと思います。
むしろ、初心者のうちに、無理やり毎回異なるパターンでベースラインを動かそうとしてしまうと、アプローチが間に合わなくなってしまい、タイムにピッキングが遅れるなど、リズムのズレに繋がってしまうことがあります。
本記事書籍の趣旨は、
コードを見てパッとラインが組み立てるのが難しいという方に向け、とりあえず書いてあるものをまんま弾けるようにし、「ウォーキングベースラインてこんな感じなのか〜」と感覚を養っていただくことを趣旨としております。
なので、コードを見てアプローチの自由度が増すまでは、アプローチはワンパターンであることを気にするよりは、
単調であれワンパターンであれ、しっかり一定のリズムを刻み、他の演奏者がプレイしやすいベースラインを奏でてあげることを心掛けてあげるといいと思います。
Bセクション
Bセクション(17-24小節目)解説
Bセクション(17-24小節目)を解説していきます。
1-2小節目
Am7♭5のコード進行上で
1音目 A(Am7♭5のルート音)
2音目 B♭(Am7♭5の2度)
3音目 C(Am7♭5の短3度)
4音目 E♭(Am7♭5の短5度)
D7のコード進行上で
1音目 D(D7のルート音)
2音目 C(D7の短7度)
3音目 B♭(D7の短6度)
4音目 F♯(D7の3度)
という流れで、Bセクションはじめの2小節は、Aセクション5〜6小節目と同じ動きにしました。
先述したように、
こうした同じようなコード進行が続いたとき、いろいろなベースラインの動きのパターンを使えたらかっこいいですが、
すぐにそうした対応ができない方は、まずコードを見てパッとラインを組み立てられない方は、前の小節で使ったパターンを使い回していくというベースラインの構築のやり方でも問題ないです。まずは繰り返し弾いて、スイングのリズムやジャズのアンサンブルに慣れましょう。
3-4小節目
こうした、同じコードが2小節続くベースラインでどういった対応をしていいかわからない
というご質問は多いです。
ここでは、2小節にわたって続くGmのコードを「ひとまとまり」 と考えます。
Gmのコード進行上で
1音目 G(Gmのルート音)
2 音目 G(Gmのルート音)
3 音目 A(Gmの2度)
4 音目 A(Gmの2度)
5 音目 B♭(Gmの短3度)
6 音目 B♭(Gmの短3度)
7 音目 B(次の小節の第一音目、Cへの半音経過音)
8 音目 B(次の小節の第一音目、Cへの半音経過音)
といった流れで半音経過音が2つ続きますが、徐々にルートから半音づつ音程を上げながら上昇しているラインで、弾きやすさもあり、違和感は感じないと思います。
それでこの時、Bセクションの8小節目の第一音目でルート音弾いていません。
で、この時のイメージですが、Bセクション3小節目のGmのルート音Gから、5小節目のCm7のルート音、Cを見て、GからCまで滑らかに繋げてあげている イメージです。
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5-8小節目
ここの4小節は、Aセクション1−4小節目のベースラインと全く同じ音使いで作成しました。
5小節目
Cm7のコード進行上で
1音目 C(Cm7のルート音)
2音目 D(Cm7の2度)
3音目 E♭(Cm7の短3度)
4音目 E(次の小節の第一音目、Fに向かう半音経過音)
6小節目
F7のコード進行上で
1音目 F(F7のルート音)
2音目 E♭(F7の短7度)
3音目 D(F7の6度)
4音目 C(F7の5度)
7小節目
B♭△7のコード進行上で
1音目 B♭△7(B♭△7のルート音)
2音目 D(B♭△7の3度)
3音目 F(B♭△7の5)
4音目 E(次の小節第一音目の音、E♭に向かう半音経過音)
E♭△7のコード進行上で
1音目 E♭(E♭△7のルート音)
2音目 D(E♭△7の7度)
3音目 C(E♭△7の6度)
4音目 B♭(E♭△7の5度)
という流れになります。
Cセクション
Cセクション(25−32小節目)解説
Cセクション(25-32小節目)を解説していきます。
1- 2小節目
Am7♭5のコードに対し
1音目 A(Am7♭5のルート音)
2音目 B♭(Am7♭5の2度)
3音目 C(Am7♭5の短3度)
4音目 E♭(Am7♭5の短5度)
D7のコードに対し
1音目 D(D7のルート音)
2音目 C(D7の短7度)
3音目 B♭(D7の6度)
4音目 F♯(D7の3度)
Aセクション5−6小節目で作成したベースラインをそのままこちらでも使用しました。
3−4小節目
Gm7 G♭7 F m7 E7
と進行してます。
こんなふうに、ひとつの小節内にコードがふたつある場合、アプローチをどうすればいいですか?
といったご質問をよくいただきます。
それで、ここはあえていろいろ動かずに、全部ルートで進行してます。
もちろんいろいろ動くこともできるのですが、
この楽曲は、全体的に同じようなコード進行がずっと続いている楽曲なので、「ロスト」 といって、今自分が演奏している中でコードのどこにいるか見失ってしまうこともあります。
そんなとき、あえて動かずに、ここの半音感をアピールすることで、周りも、「ああ今Cセクションなのか」って気づきやすい んです。
絶対にウォーキングベースはいろいろ動かなきゃいけないということはありません。ルートだけだとダサいってことはなく て、こういうアプローチのやり方もあるんですね。
5小節目
E♭7のコードに対し
1音目 A(E♭7の4度#)
2音目 B♭(E♭7の5度)
3音目 C(E♭7の6度)
4音目 E♭(E♭7のルートではあるが、ここでは次のコードのルートD7に向かう半音経過音扱い)
E♭7の第一音目は、4度#(4度シャープ)にあたるA音から構築した流れです。
このような構築にした理由は、このE♭7がAm7♭5の裏コードにあたるから という理由があります。
裏コードについての詳細な説明は省きますが、
Aセクション5−6小節目
Bセクション1−2小節目
のAm7♭5→D7の進行と同じ音使いにしています。
枯葉の29小節目は、
Am7♭5→D7 と進行することもありますし、今回のような
E♭7→D7 と進行することもあります。
今回は、ジャズ・スタンダード・バイブル(黒本) を参照にしたため、参照書籍のコード進行で構築させていただきました。
6−8小節目
D7のコードに対し
1音目 D(D7のルート音)
2音目 C(D7の短7度)
3音目 B♭(D7の6度)
4音目 F♯(D7の3度)
Gmのコードに対し
1音目 G(Gmのルート音)
2音目 G(Gmのルート音・オクターブ上)
3音目 F(Gmの短7度)
4音目 E♭(Gmの短6度)
Gmのコードに対し
1音目 D(Gmの5度)
2音目 C(Gmの4度)
3音目 B♭(Gmの短3度)
4音目 B(はじめのAセクションCm7のルート音、Cに戻る半音経過音)
となっています。
じっくり譜面と向き合いながら、構築の仕組みをご理解いただければ幸いです。
ここまでが、今回作成した譜面の全音符解説になります。