フライミートゥーザムーン(Fly me to the moon)ウォーキングベースラインを1音符づつ検証

本記事は、都内でベース講師、指導者として活動する星野徹(@jazzbassisttoru)が

JAZZスタンダードの人気曲、「Fly me to the moon」のコード進行上で使用できる

4ビートのベースラインを作成し、1音符づつの効果を説明した動画になります。

1音符1音符説明していてすごい長い記事になっているので、

ブックマークされるか、お時間ある際にじっくり読んでいただくことをおすすめします。

フライミートゥーザムーンのコード進行で使用できるベースラインの譜面付き動画

まずは演奏してみました。

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「Fly me to the moon 」のコード進行上で 使用できるベースライン 」
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ようになっています

ので、お気軽にご登録ください^^

 

ベースラインの特徴

今回のベースラインは、

ゴースト・ノートやハイポジションの使用といった
あまり難しいことをしないシンプルな四分音符

で作成しました。

Fly me to the moonの持つ美しい旋律を邪魔しない、主旋律のバッキングでも、アドリブのバッキングでも、使用しやすい流れを意識しています。

Aセクションから、1音符づつ解説していきます。

※コード進行は、ジャズ・スタンダード・バイブル(黒本)をほぼ参照しておりますが、動き方に合わせて若干変化を加えている箇所もあります。

 

 

Aセクション(1−8小節目)解説

まずは、Aセクション(1−8小節目)から使用音の解説を行っていきます。

1小節目

スクリーンショット 2020-09-28 10.45.38

Am7のコード進行上で

1音目 A(Am7のルート)
2音目 B(Am7の2度)
3音目 C(Am7の短3度)
4音目 E(Am7の5度)

という流れで組み立てました。

 

2小節目

Dm7のコード進行上で

1音目 D(Am7のルート)
2音目 E(Dm7の2度)
3音目 F(Dm7の短3度)
4音目 A(Dm7の5度)

という流れで組み立てました。

 

3小節目

スクリーンショット 2020-09-28 10.50.59

G7のコード進行上で

1音目 G(G7のルート)
2音目 F(G7の短7度)
3音目 E(G7の短6度)
4音目 D(G7の5度)

という流れで組み立てました。

 

4小節目

 

C△7、C7のコード進行上で

1音目 C(C△7のルート)
2音目 E(C△7の長3度)
3音目 C(C7のルート)
4音目 B♭(C7の短7度)

という流れで組み立てました。

 

基本はルート

ここまでのベースラインの流れですが、基本はポップスやロックのように、コードの第一音目はルート音にしています。

私自身JAZZのウォーキングベースをはじめて聴いたとき、

コピーした音源がどこの音を使っているのか全くわからなかった経験があります。

しかし、基本は、小節の第一音目をルート音として動くアプローチが多いです。

スクリーンショット 2020-09-30 12.33.59

第一音目をルート音にし、二音目以降をコードトーンやスケールトーンにすることで、サウンドに馴染んだ、”聴いていてしっくりくる”アプローチを表現することができます。

尚、「ルートって何?」という方には、既に公開中の記事ではありますが以下の記事をご参照いただければと思います。ジャンル問わず、ベースラインを作成する上で絶対に避けては通れない言葉なので、しっかり覚えておきましょう。

5小節目

 

F△7のコード進行上で

1音目 F(F△7のルート)
2音目 E(F△7の長7度)
3音目 D(F△7の長6度)
4音目 C(F△7の5度)

という流れで組み立てました。

運指もしやすい流れです。

 

6小節目

Bm7(♭5)のコード進行上で

1音目 B(Bm7(♭5)のルート)
2音目 C(Bm7(♭5)の短2度)
3音目 D(Bm7(♭5)の短3度)
4音目 F(Bm7(♭5)の減5度)

という流れで組み立てました。

7小節目

スクリーンショット 2020-10-01 10.21.12

E7のコード進行上で

1音目 E(E7のルート)
2音目 F(E7の短2度)
3音目 G#(E7の長3度)
4音目 B(E7の5度)

という流れで組み立てました。

このとおり弾くことは難しくないと思いますが、ここの動き方も慣れない動きという方も多いかもしれません。

ポイントは、第三音目のG#音。E7のメジャー3rdにあたる音で、ここの響きが独特です。

フライミートゥザムーンのベースラインを奏でるとき、7小節目のE7では、このG#の音を意識的に使用してあげるといいです。

8小節目

スクリーンショット 2020-10-02 16.05.20

Am7とA7という2つのコード進行上で

1音目 A(Am7のルート)
2音目 C(Am7の短3度)
3音目 A(A7のルート)
4音目 C#(A7の長3度)

という流れで組み立てました。

ということで、ここまでがAセクション8小節の解説でした。

 

Bセクション(9-16小節目)解説

 

次はBセクションのベースラインです。

Dm7→G7→C△7

の、「ツーファイブワン」の進行が2回出てきます。

今回のDm7→G7→C△7の進行をはじめ、ジャズでは随所で出てくる進行ですので、スムーズに対応できるようにしたいです。

 

1小節目

Dm7のコード進行上で

1音目 D(Dm7ルート)
2音目 E(Dm7の2度)
3音目 F(Dm7の短3度)
4音目 A(Dm7の5度)

という流れで組み立てました。

運指のしやすい流れです。

 

2小節目

スクリーンショット 2020-10-02 16.26.20

G7のコード進行上で

1音目 G(G7のルート)
2音目 F(G7の短7度)
3音目 E(G7の短6度)
4音目 D(G7の5度)

という流れで組み立てました。

 

 

3小節目

C△7のコード進行上で

1音目 C(C△7のルート)
2音目 B(C△7の長7度)
3音目 A(C△7の短6度)
4音目 G(C△7の5度)

という流れで組み立てました。

全音もしくは半音の進行で、緩やかな下りの進行です。

 

4小節目

スクリーンショット 2020-10-03 10.42.41

A7のコード進行上で

1音目 A(A7のルート)
2音目 B(A7の2度)
3音目 C#(A7の△3度)
4音目 E(A7の5度)

という流れで組み立てました。

ノンダイアトニックコードにあたるA7のコードなので、Aセクション8小節目同様、C#音を用いています。

 

5−7小節目

Bセクションの1−3小節目の流れと同じ音使いにしましたので、細かな説明は割愛しますが、

先述したようにこういったDm7→G7→C△7のような2−5−1進行はジャズでよく出てくるため、2−5−1進行のウォーキングベースのパターンを幾つか覚えておくと、今回のように使いまわしがしやすいということもあり、利便性が高いです。

 

8小節目

Bm7♭5とE7のコード進行上で

1音目 B(Bm7♭5のルート)
2音目 E(E7のルート)
3音目 E(E7の短2度)
4音目 G#(E7の3度)

という流れで組み立てました。

ちょっと変則的ですが、ここでは

第1音目のみBm7♭5進行上の音、
第二音目以降をE7の上の進行上の音

という意識で構築しました。

以上、ここまでがBセクションの解説になります。

 

A`セクション(17-24小節目)解説

A`セクションは、Aセクションと全く同じ音使いで構築したため、細かな説明は省きます。

他の楽曲解説でもお伝えしていますが、

「ベースラインを何回も同じようなパターンで弾いて問題ないのか」といったご質問をいただくことがありますが、

はじめのうちはこうしたアプローチでも全く問題ないと思います。

 

むしろ、初心者のうちに、無理やり毎回異なるパターンでベースラインを動かそうとしてしまうと、アプローチが間に合わなくなってしまい、タイムにピッキングが遅れるなど、リズムのズレに繋がってしまうことがあります。

本記事の趣旨は、

コードを見てパッとラインが組み立てるのが難しいという方に向け、とりあえず書いてあるものをまんま弾けるようにし、「ウォーキングベースラインてこんな感じなのか〜」と感覚を養っていただくことを趣旨としております。

なので、コードを見てアプローチの自由度が増すまでは、アプローチはワンパターンであることを気にするよりは、

単調であれワンパターンであれ、しっかり一定のリズムを刻み、他の演奏者がプレイしやすいベースラインを奏でてあげることを心掛けてあげるといいと思います。

 

Cセクション(25-32小節目)解説

ラストの8小節です。全体的にここまでのラインとさほど変わらない箇所が多いですが、1−3小節目の流れ、パッシングディミニッシュを取り入れた進行がポイントです。

 

パッシングディミニッシュを取り入れた進行

Dm7→D#dim→Em7というコード進行ですが、ルート音だけ見ると、

D→D#→E

という半音の動きをしています。

このとき、1小節目Dm7から3小節Em7への全音でコードが進行していると考え(下記参照)

スクリーンショット 2020-10-03 11.08.12

その全音進行をより滑らかにするために

真ん中Dm7の半音上でありEm7の半音下にあたるコード、D#dimが存在している(下記参照)

スクリーンショット 2020-10-03 11.08.12のコピー

とご解釈下さい。

こうした、全音階のコード進行の間に存在するディミニッシュコードを、「パッシングディミニッシュ」といいます。

ディミニッシュコードの構成音は、ルート、短3度、減5度、6度というちょっと不気味なサウンドになるのですが、今回のようにパッシングディミニッシュ的な立ち位置で使用すると、絶妙にサウンドに溶け込みます。

ここまでの流れを意識しベースラインを構築していきます。

 

1小節目

スクリーンショット 2020-10-03 11.34.55

まず1小節目、Dm7のコード進行上では、

ルート(D)と
5度(A)

だけの使用です。

これまで4ビートのウォーキングベースラインの場合、ルート音以外は全て異なる音符を使ってきましたが、今回は小節の進行上あえてこのような、ルートと5度だけの少ない音使いのラインの組み立て方にしました。

こうした構築にしたのは、2小節目が関連しています。

 

2小節目

スクリーンショット 2020-10-03 11.36.27

2小節目、D#dimのコード進行上でも同様

ルート(D#)と
減5度(A)

だけの使用です。

ここだけを見るとシンプルなラインですが、1−2小節目をまとめてみると、以下のような流れになります。

スクリーンショット 2020-10-03 11.40.34

赤マルで囲ったA音は、両方のコードのコードトーン(5度)にあたり、ここでの1−2小節は、この共通音(ここではA音)を軸としながらルートを動かすというワザです。

この2小節をただ弾くだけではなんら問題ない難易度だとは思いますが、無理やり4分音符4音を使用するのではなく、あえて今回のように2音、3音と同じ音を続けるといったアプローチをすることもあり、そしてこうしたアプローチのほうがしっくりくるということもあります。

 

以上、ここまでがCセクション1−2小節目の解説となります。

Cセクション3−8小節目については、ここまでの流れの応用や使い回しをした構築となっているため省略させていただきますので、ここまでが「Fly me to the moon」のコード進行で使用できるベースライン、1コーラス分の解説となります。

長い解説になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

今後の皆様のベースライン作成にお役立ていただければ幸いです^^

 

更に、それでもウォーキングベースラインの組み立て方がわからなかったら…

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