ベース3本だけのアンサンブルアルバム,「Superbass」Ray Brown with John Clayton・Christian McBride

本記事は、都内でウッドベース、エレキベース奏者、指導者として活動する星野徹(@jazzbassisttoru)がオススメの音源を紹介する記事です。

今回のご紹介は、ベース3本だけのアンサンブルアルバムです。

想像つくでしょうか。淡々と普段バックビートを支えているベースがメロディを歌い、ハモり、好き勝手に音楽する1枚。発想だけでも衝撃的作品です。

「Superbass」Ray Brown with John Clayton・Christian McBride

 


「スーパーベース」というタイトルを見て、あまりにもしっくりきすぎているなという感想を抱きました。「ジャズベースを演奏するならまず彼を聴け!」と言われているほど、1940年代、1950年代ののビバップ、モダンジャズシーンのベース界を支えてきたベーシスト、レイブラウンのリーダー作品です。

チャーリーパーカー、バドパウエルなど、数えきれないほどの伝説のミュージシャンのバックで奏でられてきた、力強い1本指奏法は、音の立ち上がり、粒の揃い方などあまりにも正確な等間隔で、各著名アーティストの名プレイを盛り上げ続けました。

 

本作は、レイブラウンの弟子であるベーシスト、John Claytonと、今現在におけるジャズシーンのトップベーシストといっても過言では無いでしょう。クリスチャン・マクブライドの作品です。

 

ベースという楽器に感じる無限の可能性

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地味で目立たない、持ち運びも大変で正確なピッチを掴めるようになるまで何年も掛ってしまう事もあるコントラバス(ウッドベース)ですが

1曲目の「SuperBass Theme」から炸裂する3つの和音による、ハモり、ユニゾン。

定番のスタンダードナンバーを、自由自在にアレンジし、常に「そうくる?そうくるの?」と思わせる「2・Blue Monk」「3・Bye, Bye Blackbird」。

更にスタンダードのオンパレードとまでに「4. Lullaby of Birdland(バードランドの子守歌)」で魅せる、室内楽を彷彿とさせるアルコ弾きは、いい意味で期待を思いっきり裏切ってくれます。

ビートだけでなく、メロ、ハモり、ストリングス、リズムパーカッションの役割まで果たしてしまうベースという楽器。そして卓越されたパフォーマンスで、「ベースってここまで出来るんだぜ」と、音から感じさせられる説得力は力強く、異なる音階での弦12本の弦の協奏から生まれている一体感は、おそらく殆どの人が味わったことの無い耳障りと思います。

 

とにかく、ベーシストに聴いて欲しい1枚

「何か凄いベースのアルバムってありますか?」と生徒さんに聞かれれば、私は「ジャコ・パストリアスの肖像」か本作をお勧めしています。

ロックやポップスの経験しか無ければ、「バンドの編成」に関しては、ギターが居て、キーボードが居て、ドラムが居て…。と、スタンダードな編成を想像されるケースが殆どだと思います。

「ベース3本だけのアルバム?なんやねんそれ!」と思ってしまいそうですが、そもそも音楽は、音を通して自由を形にする表現のひとつです。

沢山のベーシストの皆さんがこのアルバムを聴いて、脳天直下の衝撃を感じ、右脳をどんどん高速回転させて欲しいものです。

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